介護業界の今後の課題と将来性について考える

「介護業界の将来性は高い」とも聞くけれど、現状を見渡す限り、まだまだ課題が山ほどありますよね。

やりがいもあるし、仕事は好きだけど、「好きだけじゃやってられない」こんなこと思ってる介護従事者は少なくありません。

2000年に介護保険制度がスタートしてから15年以上が経過していますが、まだまだ介護業界は未成熟な産業になるので、不満を持つ人も沢山いますが、介護従事者を取り巻く環境は、緩やかに改善傾向にあり、指標となる「離職率」を見ても徐々にですが低下傾向にあります。

ですが、離職者は減少傾向にあっても、採用率も減少しているので、人材不足に悩む介護事業所が後を尽きません。

ここでは、業界全体で今後解決していかなければならない「課題」と「介護業界の将来性」について考察しています。
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介護業界の今後の課題とは?

業界全体が抱える課題は様々な種類がありますが、特に大きい4つの問題に焦点を当てて紹介します。

介護職員の待遇改善

まずよく言われるのが、介護職員の待遇の悪さです。

介護業界に興味がある男性は沢山いますが、仕事内容が多彩でハードな仕事なのに、給与などの待遇面が割りに合わないので、現場では今「介護職離れ」が起きています。

ただ、2015年から処遇改善されてはいますが、それでも他業種と比べると平均年収は低く、将来の設計を立てようにも、「生活していくので手一杯」という方が非常に多いのが現状です。

 

特に賃金の問題は男性の介護職にとっては死活問題。

 

どのように介護従事者の待遇を改善していくかは今後の大きな課題になりますが、介護職員の給料には社会保険や税金が使われている為、大幅な給与アップというのは早急に解決するのは難しく、現状では「給料の良い介護事業所へ転職する」のが1番簡単な解決方法になります。

ですが、根本的には国が働きかけてくれないと厳しいというのが本音。

ですから、今後も国への働きかけを粘り強く続けていくと同時に、事業者は職場の環境や人間関係をよくしていくなど、まずは身近で出来ることから始めて、離職者を増やさない努力が必要です。

 

人材不足

また、介護業界の課題として頻繁に挙がる問題が「人材不足」です。

 

本来なら、介護を必要とする高齢者の増加に伴い、介護を担う人材も増加していかなければなりません。

ですが、要介護者に比べて、介護職員は足りていないばかりか、離職者も多いのが実情です。

 

人手不足になれば、その分、職員の仕事が増えてしまい、それは時間外労働へと直結します。

人材不足で職員の負担が増えるという悪循環に陥っているのです。

興味を持ち介護の仕事を始めても、待遇の悪さから退職する人も少なくありません。

人の役に立ち、責任のある仕事で、やりがいの持てる仕事ですが、それだけでは優秀な人材を確保できないのです。

介護で働く上で知っておきたい残業代のこと

 

人材育成

少子化や平均寿命が長くなったことから、どんどん高齢化社会が進んでおり、介護職が必要とされています。

専門的な医療の知識がなくとも、介護職に就くことが出来るので、介護業界以外から転職してくる人や、新卒で介護の仕事をする人など、多くの若者が入ってきます。

ですが、全員が全員ではありませんが、最近の若い子たちは仕事スキルがあまり高くない印象を多く受けます。

新人なので仕方のないことかもしれませんが、対利用者様に対しての言葉遣いが現代語で伝えたり、ため口であったりする場面を現場で幾度となく拝見するので、正直これからを担う若者がこれでいいのか?とても不安です。

 

また、介護技術に関しても、利用者様に対して荒っぽかったり、病気に対する理解があまりなく経験不足感が否めません。

ですから、介護に携わる専門的な法律の認識不足や行政への対応は、若い職員では対応できず、ベテランの職員が対応するしかないのです。

ただ、若い子たちは真剣に仕事をしていないのか?というと、全くそうではありません。

知識や経験が無いなりに、上の人間から理不尽な文句を言われながらも、真剣に仕事しているのです。

ハッキリ言って10年以上のベテランの介護職員より、よっぽどまじめに働いています。

ですが、仕事を教えてくれる中間層が少なかったり、人手不足で新人教育に時間がさけないなど、教えてくれる人材が圧倒的に不足しているのです。

これは、人材不足問題とも被る部分が大きいですが、かなり深刻な問題であることに違いはありません。

 

研修・介護の質の向上

研修体制に時間をしっかりと設けることも必要です。

安易に介護に携わることがないよう、介護職員の意識向上ももちろんですが、身体的介助への留意点や危険についても指導する必要があります。

就職後も継続した教育体制をしっかりと整え、チームワークを良くして介護へのやりがいと責任感を持ち続け、離職率を減らすべきです。

他職種との連携をはかり、医師の指示に基づいた介護の提供をしなければならないことを、介護職員全体に周知してもらうことが必要です。

また、全体的な課題であげられるものとして、初任者研修等の資格を取る際に専門的な介護技術(基本のみではなく)や、法律についての知識を身につける為の講習が必要だと思います。

それが、介護職員全体の介護の質の向上にもつながりますし、介護施設も繁栄することが見込めます。

 

問題の根源はどこにあるのか!?

「待遇・人材不足・人材育成・介護の質の向上」

全部ひっくるめて元をたどると、行きつくのは『給料の少なさ』が影響している部分が非常に大きいです。

 

給与が少ない「だから人が集まらない」
給与が少ない「だから優秀な人材が辞めていく」
給与が少ない「だから人手不足で新人が育たない」

 

介護業界に従事する方にとっては、賃金の安さというのは切っても切り離せない問題なので、これは早急な解決が望まれます。

待遇面が改善されれば、介護業界を目指す若者も増えると思います。

人手が足らなくなるのは、離職する介護職員が増えていることも一因。

ですから、高齢者のサービス料を増やして、その分を会社の利益ではなく、介護職員の給与に上乗せする。

または労働に対する功労賞のような何らかの手当やサービスの行き届いた介護職員に支給するなど、職員の士気の上がる待遇を行うべきです。

「介護職員の待遇を改善するため政府に訴えていく」ことが今後も必要


なぜ、政府に訴え続けていく必要があるのか?

 

これは、『介護従事者の離職を防ぎ、介護の質を向上させるため』です。

実際、男性の介護職員は待遇の悪さから、結婚を機に別の業種に転職をするケースが頻発しています。

これは非常に深刻な問題です。

介護は移乗など力仕事が多い職種なのに、女性比率が7割を超えているのですからね。

介護職員の男性の比率を上げないと今後高齢化社会には対応することができません。

 

また、現在多く働く女性職員の生活の安定のためにも給料アップが必要です。

このことから政府も「介護職員処遇改善加算」の改定を行っています。

しかし、実際は『ほんのわずかに給料が増えただけ』という職員の声が圧倒的に多いので、今後も介護職員は待遇を改善するため声を上げ続けていく必要があるのです。

介護業界の将来性はどうなると予測できるのか?

様々な課題がある介護業界ですが、高齢者の推移を見る限り、まだまだ右肩上がりの業界です。

今後10年から20年以上は需要の高い仕事であることに間違いはありません。

 

近年では、AIなどの人口知能の発展が目まぐるしく、ロボットに仕事を奪われてしまうんじゃないかとも考える人もいますが、介護業務自体はロボットでできたとしても、最終的に介護高齢者が望むのは『人間によるケア』です。

 

また、平成20年ころからインドネシア、フィリピン、ベトナムなどの「外国人の介護福祉士候補者」の受け入れに積極的なので、そのうち日本の介護施設は外国人だらけになるんじゃないかと想像している人もいます。

ですが、やはり「言葉の壁」がありますし、彼女らには「出稼ぎ」というはっきりとした目的があるので、一定数の外国人は受け入れても、それほど人数自体は増えていかないことが予想されます。

 

待遇に関しては、介護職員処遇改善加算の改定など、政府も介護業界に従事する人のバックアップを少しづつですが改善されてきているので、徐々には改善傾向に向かうと予測しています。

ですが、楽観視できるレベルには全然達していないので、私たちは一丸となって声を上げていくとともに、新たな介護資格の取得や、給料の良い介護施設に転職するなど、自分なりの対策が今後を生き抜くためには重要です。

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